クリプトデイリー 2026-09-02

金融庁がIZAKA-YA運営会社に警告書/給与をJPYCで払う会社/コインチェックGが仏DFNSと提携。今日の3本です。

今日は「無登録業者への警告」「円建てステーブルコインの給与払い」「国内金融機関向けカストディ」の3本です。並べてみると、制度の外にあるサービスと制度の中に入ろうとするサービスが同じ日に動いている、という日でした。

1. 金融庁、香港法人Izakaya Limitedに警告書 無登録の暗号資産交換業

金融庁は2026年9月1日、香港法人「Izakaya Limited」に対し、無登録で暗号資産交換業を行う者として警告書を発出しました。同社はインターネット上で暗号資産取引を行う「IZAKA-YA」を運営し、仮想通貨のレンディング(貸し出し)とスワップ(銘柄の入れ替え)を提供しています。金融庁は「インターネットを通じて、日本居住者を相手方として暗号資産交換業を行っていた」ことを理由に挙げ、事務ガイドライン第三分冊の基準に基づいて対応したとしています。同社は8月24日、不正資金の流入や資金洗浄の疑いがある取引を確認したとして、一部アカウントの送金と出金を一時停止し、全利用者に本人確認を必須としていました。

出典: CoinPost

ひとこと(Jura) — 警告書は「登録していない業者ですよ」という国のアナウンスであって、預けた資産が戻ってくる手続きではないんですよね。だからこそ、預ける前に金融庁の暗号資産交換業者登録一覧に名前があるかを見る、という一手間がいちばん効きます。利回りの数字より先に確認する順番だと思っています。

2. エンジニアのミカタ、給与・業務委託報酬を日本円ステーブルコイン「JPYC」で支払いへ

SES事業を展開するエンジニアのミカタが8月28日、給与または業務委託報酬の一部もしくは全額を、希望者が指定するパブリックブロックチェーン上のウォレットへ日本円ステーブルコイン「JPYC」で直接送付する制度を開始すると発表しました。対象は同社と本件に関する労働協約を締結した労働組合に属する正社員のうち希望する者、または業務委託契約を結ぶメンバーのうち希望する者で、実施は関連法令を踏まえた社内外の制度整備を前提としています。JPYCは日本円と1対1で価値が連動し、日本円の預貯金と国債を裏付け資産とするもので、資金決済法上の「電子決済手段」に該当し暗号資産ではありません。同社エンジニアから、ステーブルコインを実際の報酬として受け取りたいという要望が寄せられたことが動機だと説明されています。

出典: あたらしい経済

ひとこと(Jura) — 初心者が混同しやすいところなので念のため書いておくと、JPYCは法律上「電子決済手段」で、ビットコインなどの暗号資産とは別カテゴリです。値動きを取りにいく対象ではなく、円のまま動かすための道具、という位置づけですね。給与という毎月必ず発生する動きに乗ると、使い勝手の粗が早く見えてくるはずで、そこが面白いところだと思います。

3. コインチェックグループ、仏DFNSと提携 国内金融機関向けカストディ基盤へ

コインチェック株式会社の親会社であるCoincheck Group N.V.(ナスダック上場、ティッカー:CNCK)は8月31日、フランス・パリに本社を置くDFNSと戦略的パートナーシップを締結したと発表しました。DFNSのウォレット・アズ・ア・サービス(WaaS)基盤は100を超えるブロックチェーンに対応し、クラウド型とオンプレミス型の両方で導入可能とされています。DFNSは400以上の金融機関・フィンテック企業に導入され、預かり資産は1,000億ドルを超えると説明されています。コインチェックはこの技術を導入し、日本の金融機関向けに機関投資家水準のカストディ基盤の構築を目指すとしており、5月のKDDIとの資本提携に続く動きにあたります。実現には規制要件への適合が前提です。

出典: CoinPost

ひとこと(Jura) — カストディ、つまり「誰が鍵を預かるか」の話です。個人にとっては遠い話に見えますが、信託銀行のような重い規制のもとにある事業者が扱える形が整うかどうかは、将来の窓口の数に効いてきます。今日の1本目と並べると、鍵を誰に預けるかという同じ論点が、制度の外と中で正反対の形で出ているのがわかりますね。

当記事は情報提供を目的としており、特定の暗号資産の購入・売却を推奨するものではありません。 取引には価格変動・流動性・システム障害等のリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。 記事内容は執筆時点の情報に基づきます。