クリプトデイリー 2026-09-22

ブロックチェーンをサイバー攻撃の指令置き場に使う「BDD」が直近12カ月で420%増/AppleとGoogleがステーブルコイン・Web3の人材を募集/RWAトークン化市場は9月15日時点で341億8000万ドル、年初来85.2%増。今日の3本です。

鎖状につながった半透明の立方体の内側に封筒や紙片が封じ込められ、そこから伸びた破線が暗がりのノートPCへつながるイラスト AI生成のイメージ画像です。

今日は「悪用のされ方」「大手企業の人の動き」「市場規模の測り方」の3本です。価格の話は出てきませんが、ブロックチェーンという技術がいま何に使われているかを、3つの別々の角度から見た形になったと思います。

1. ブロックチェーンを攻撃の指令置き場に使う手口、直近12カ月で420%増

ブロックチェーン分析企業のChainalysis(チェイナリシス)は9月17日、公開ブロックチェーンをサイバー攻撃の指令基盤として使う活動が直近12カ月で420%増加したとする調査を公表しました。手口は「ブロックチェーン・デッド・ドロップ(BDD)」と呼ばれるもので、取引データやスマートコントラクトの中にマルウェアへの指令を書き込み、感染した端末にそこを読みにこさせる方式です。悪意ある情報の書き込みは1日平均2.06件から11.1件に増えたとされています。2026年4〜6月期には、新規のBDD活動の約3分の2を国家に関連するグループが占めました。北朝鮮に関連する攻撃者はBNB Smart Chain、TRON、Aptosを組み合わせて複数の経路を確保しており、イランに関連する攻撃者の利用も確認されています。

出典: NADA NEWS

ひとこと(Jura) — 「消せない・止められない」という、ブロックチェーンがふつうは長所として語られる性質が、そのまま攻撃側にとっての長所になっているという話ですね。指令サーバーなら運営者に連絡して止められますが、チェーンに書き込まれたデータはそうはいかない。複数のチェーンにまたがって経路を用意しているのも、どれかが遮断されても動くようにするためだと思います。一般の利用者がチェーンを触ること自体が危ないという話ではなく、チェーンの上には送金以外のデータも載せられる、という前提を知っておくといい種類のニュースだと思います。

2. AppleとGoogle、ステーブルコイン・Web3の人材を募集

大手テック企業がWeb3関連の人材募集を進めていると報じられています。Appleは8月26日、Apple Payの金融商品戦略を担う「Financial Product Strategy Lead」の求人を掲載しました。Apple CardとApple Cashの長期戦略の策定や事業計画の作成を担当する職種で、応募要件にステーブルコイン、トークン化預金、ブロックチェーン技術への理解が挙げられています。Googleは香港を拠点に、アジア太平洋地域のWeb3事業を担当する「Industry Principal Architect, Web3」を募集しています。こちらは現実資産(RWA)のトークン化、ステーブルコイン決済網、デジタル資産管理に関する知識が求められ、ブロックチェーンとGoogle Cloudを統合したシステムの提案や、Google CloudのWeb3サービス開発への助言を担当するとされています。

出典: NADA NEWS

ひとこと(Jura) — 求人は、会社が何を「これから必要になる」と見ているかが外から見える数少ない情報だと思います。ここで目を引いたのは、どちらも暗号資産そのものを扱う部署ではなく、決済(Apple Pay)とクラウド(Google Cloud)という既存事業の側に置かれている点ですね。新規事業として立てるのではなく、いまある決済網や基盤に接続する前提で人を探している形に見えます。もちろん求人が出ることと事業になることは別なので、そこは分けて読む必要があると思います。

3. RWAトークン化市場、9月15日時点で341億8000万ドル

Binance Research(バイナンス・リサーチ)は9月18日、現実資産(RWA)のトークン化市場を分析したレポート「The RWA Activation Era」を公開しました。RWAトークン化とは、債券や不動産のように現実世界に存在する資産の権利を、ブロックチェーン上のトークンとして記録・移転できるようにする仕組みです。レポートによると、市場規模は2026年9月15日時点で341億8000万ドル(約5兆3700億円)で、年初来85.2%の増加。最大のカテゴリーは債券・マネー・マーケット・ファンド(MMF)で182億9000万ドルです。伸び率が最も大きいのは株式で、44億3000万ドル・年初来390.4%増となり、市場に占める割合は4.9%から13.0%へ拡大しました。ほかに金・コモディティが46.6%増、プライベートクレジットが43.6%増、不動産が17.9%増です。一方でレポートは、トークン化の対象となり得る主要資産が300兆ドルを超えるのに対し、実際にオンチェーン化されている割合は約0.01%にとどまると指摘しています。

出典: NADA NEWS

ひとこと(Jura) — 数字が2つ並んでいて、読み方が正反対になるところがこのレポートの面白さだと思います。年初来85.2%増だけを見ると急拡大ですが、対象になり得る資産の0.01%という比率で見ると、ほとんど手つかずということになりますね。どちらも同じ事実の別の切り口です。それから、伸び率が一番大きい株式の390.4%増は、もとの数字が小さいほど率は大きく出るという点も込みで見ておくとよいと思います。率と絶対額を両方確認する癖をつけておくと、この種のレポートは読み違えにくくなると思います。

当記事は情報提供を目的としており、特定の暗号資産の購入・売却を推奨するものではありません。 取引には価格変動・流動性・システム障害等のリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。 記事内容は執筆時点の情報に基づきます。