仮想通貨の税金はいくらから?|国税庁の資料で確かめる「20万円」の意味と計算の順番
暗号資産の利益にかかる税金を、国税庁のFAQとタックスアンサーの記載だけで整理します。課税の対象になる取引、原則として雑所得になること、「20万円」が何の金額か、損失の扱いと計算の順番まで。

暗号資産の取引で生じた利益は所得税の課税対象で、原則として雑所得に区分され、申告が必要かどうかは「利益がいくらか」だけでなく働き方やほかの所得との合計で決まります。
確認日: 2026年9月28日。この記事は国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月最終改訂、令和7年12月1日現在の法令・通達等に基づく)と、タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)の記載を対象とし、個人の所得税に限って扱います。個別の申告額や申告の要否は判定しません。
本文の公式リンクは広告ではありません。ヒーロー画像はAI生成のイメージです。
1. 先に知っておく注意点:思ったより手間と負担が大きい
仕組みの前に、負担になりやすい点を先に確認します。国税庁のFAQは、暗号資産取引で生じた利益は原則として雑所得(その他雑所得)に区分されると説明しています。
雑所得の金額は、タックスアンサーNo.1500によると、給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めたあとに税額を計算します。株式の特定口座のように、取引ごとに税金が差し引かれて手続きが終わる仕組みではありません。
損失の扱いも確認しておきます。FAQは、雑所得の金額の計算上生じた損失については、給与所得など他の所得から差し引く(通算する)ことはできないとしています。所得税法上、他の所得と通算できる損失は、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得に限られるためです。
証拠金取引も同じ考え方です。FAQは、暗号資産の証拠金取引による所得には租税特別措置法の申告分離課税(先物取引に係る雑所得等の課税の特例)の適用はなく、総合課税により申告するとしています。外国為替証拠金取引(いわゆるFX)とは扱いが異なります。
こうした負担は、始める前に知っておきたい点として仮想通貨のデメリットでも触れています。
出典: 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)、国税庁:No.1500 雑所得
2. 課税の対象になるのは「円に換えたとき」だけではない
FAQは、暗号資産を手放す場面ごとに所得の計算方法を示しています。円に売却したときに加えて、次の場面でも所得の計算が必要になります。
- 円への売却: 譲渡価額とその暗号資産の譲渡原価等との差額が所得金額になる
- 暗号資産で商品を購入: 保有する暗号資産を譲渡したことになり、売却と同じく差額を計算する
- 暗号資産同士の交換: 暗号資産Aで暗号資産Bを購入したことになり、Aの譲渡について所得金額を計算する
- マイニング・ステーキング・レンディングなどでの取得: 取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)が総収入金額に算入され、要した費用は必要経費に算入される
とくに見落としやすいのは交換です。円に戻していなくても、銘柄を乗り換えた時点で計算の対象になります。
いつの年分の収入になるかについて、FAQは、原則として売却等をした暗号資産の引渡しがあった日の属する年分とし、選択により売却等に関する契約をした日の属する年分とすることもできるとしています。
ビットコインそのものの仕組みはビットコインとはで扱っています。
出典: 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)
3. 所得金額の計算:譲渡原価と必要経費
所得金額は、手放したときの価額から、その暗号資産の取得にかかった分(譲渡原価)と必要経費を差し引いて求めます。
譲渡原価の計算について、FAQは、暗号資産の種類ごとに「年初時点で保有する暗号資産の評価額」と「その年中に取得した暗号資産の取得価額の総額」の合計額から、「年末時点で保有する暗号資産の評価額」を差し引いて計算すると説明しています。年末時点の1単位あたりの取得価額は、総平均法か移動平均法のいずれかで算出し、選択しない場合、個人は総平均法になるとしています。
| 方法 | FAQの説明の要点 |
|---|---|
| 総平均法 | 年初の評価額と年中の取得価額の合計を、これらの総量で割って1単位あたりの取得価額とする |
| 移動平均法 | 取得のたびに、その時点の簿価の総額を保有数量で割って平均単価を出し、年末に最も近い日の平均単価を使う |
必要経費になるものとして、FAQは、暗号資産の譲渡原価と売却の際に支払った手数料を例に挙げています。インターネットやスマートフォンの回線利用料、パソコンの購入費用なども、暗号資産の売却のために直接必要な支出と認められる部分に限って算入できるとしています。回線利用料は、暗号資産取引に係る利用料を明確に区分できる場合に限られ、使用可能期間が1年以上で一定金額を超えるパソコンなどは減価償却費として複数年に分けて計上します。
売買のたびに支払う手数料の種類は、仮想通貨の手数料で整理しています。金額は各社で異なり変わるため、公式の手数料一覧で確認します。
出典: 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)
4. 「20万円」は何の金額か
「仮想通貨の税金はいくらから」という問いでよく出てくる20万円は、税金がかかり始める金額ではありません。タックスアンサーNo.1900にある、給与所得者が確定申告をしなければならないかどうかの基準の一つです。
同ページは、大部分の給与所得者は年末調整で所得税額が確定し、納税も完了するため確定申告の必要はないとしたうえで、確定申告が必要な人を挙げています。その一つが、給与を1か所から受けていて、かつその給与の全部が源泉徴収の対象となる場合に、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える人です。確定申告をすれば税金が還付される人は除くとされています。
読むときの注意点は3つあります。
- 対象は給与所得者: 給与を2か所以上から受けている人、給与の年間収入金額が2,000万円を超える人などは、同ページに別の条件が書かれています
- 売った金額ではなく所得金額: 譲渡原価や必要経費を差し引いたあとの金額で見ます
- 暗号資産以外の所得も合算: 副業の所得など、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計で判定します
給与所得者でない場合や、住民税の申告の要否は、この記事の出典の範囲外です。前者は国税庁の確定申告の案内、後者は住所地の市区町村の案内で確認します。
出典: 国税庁:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
5. 収入が大きくなると区分が変わることがある
FAQの所得区分の項目(令和7年12月更新)は、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超える場合、帳簿書類の保存があるときは原則として事業所得、保存がないときは原則として雑所得(業務に係る雑所得)に区分されるとしています。帳簿書類の保存があっても、営利性が認められない場合などは、事業所得に該当するかを個別に判断するとの注記があります。
ここでいう300万円は「収入金額」で、前の節の20万円(所得金額)とは基準にしている数字が違います。区分が変わると必要経費にできる範囲なども変わるため、該当しそうな場合は税務署や税理士に相談する対象です。
出典: 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)
6. 計算に使う資料:年間取引報告書と国税庁の計算書
国内の暗号資産交換業者を使っている場合、FAQは、交換業者から送付される年間取引報告書を活用した計算方法を紹介しています。報告書の該当欄の数字を、国税庁ホームページに掲載されている「暗号資産の計算書(総平均法用)」に入力すれば、簡便に所得金額を計算できると説明しています。
複数の交換業者を使っている場合は、業者ごとの報告書を集めて同じ計算書にまとめます。年間取引報告書がどこからダウンロードできるかは各社の公式ヘルプに載っているため、口座を開いた時点で場所を確認しておくと、年明けに探し回らずに済みます。口座開設から入金までの流れはGMOコインの始め方やコインチェックの始め方で、公式ヘルプに沿って整理しています。
外部のウォレットに送った暗号資産で取引した場合など、交換業者の報告書に載らない取引は自分で記録する必要があります。送金の仕組みは暗号資産の送金の仕組みにまとめています。
出典: 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)、国税庁:No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係
7. 次に確認すること
まず申告する年分を決め、その年に暗号資産を手放した場面(売却・商品の購入・交換・ステーキング等での取得)を年間取引報告書で洗い出すのが確認の起点です。そのうえで国税庁の計算書で所得金額を出し、タックスアンサーNo.1900の条件にあてはまるかを確かめ、判断に迷う点は税務署の相談窓口や税理士に確認します。
出典
- 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)(令和7年12月最終改訂) — 売却・商品購入・交換・マイニング等の所得計算、収入すべき時期、所得区分、必要経費、譲渡原価、年間取引報告書の活用、損失と証拠金取引の扱い。
- 国税庁:No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係 — 暗号資産の課税関係の案内ページと、FAQ・計算書への導線。
- 国税庁:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 — 給与所得者の確定申告が必要な条件と20万円の基準。
- 国税庁:No.1500 雑所得 — 雑所得の計算方法、他の所得と合計して税額を計算すること、損益通算ができないこと。