ステーブルコインとは|「円やドルと連動」の中身と、国内で2つに分けて扱われる理由
ステーブルコインの仕組みを、金融庁の説明資料と国内の取扱業者の公式ページから整理します。額面で償還される電子決済手段と暗号資産型の違い、裏付け資産のルール、保有前に知っておく制約まで。

ステーブルコインは法定通貨の価値と連動するように設計されたデジタルな決済手段で、日本では「額面での償還を約束しているかどうか」によって、扱う法律と仲介する業者が分かれています。
確認日: 2026年9月23日。この記事は金融庁が公表している説明資料と、国内の取扱業者の公式ページの記載を対象とし、個別の銘柄や業者の優劣、価格の見通しは扱いません。
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1. 先に知っておく制約:「連動」は保証ではない
仕組みの説明に入る前に、ステーブルコインで起こりうる損失の種類を確認します。名前に「安定」と付いていても、価値が固定されているわけではありません。
国内で米ドル連動のステーブルコインを扱うSBI VCトレードは、公式ページの注意点として、暗号資産及び電子決済手段は日本円やドルなどの法定通貨とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではないと記載しています。あわせて、次の点を挙げています。
- 外国通貨で表示される電子決済手段については、為替レートの変動により、日本円での換算価値が購入時点より減少する可能性がある
- 移転記録の仕組みの破綻によって、価値が失われる可能性がある
- 取扱業者が倒産した場合、預託された金銭や電子決済手段を返還できない可能性がある
- 秘密鍵を失った場合、保有する電子決済手段を利用できず、価値を失う可能性がある
米ドルと連動するものは、ドルに対して値動きが小さくても、円で見れば為替の分だけ上下します。円で生活している場合、この点はドル建ての預金と同じ性質です。
発行者側の機能も確認しておきます。同社のページは、米ドル連動のUSDCについて、発行者のCircle社がアドレスの凍結機能を保持しており、規制当局からの要請やマネー・ローンダリング対策の要件に該当する場合などは凍結する可能性があると説明しています。ビットコインのように管理者がいない設計とは、この点で異なります。
2. ステーブルコインとは何か
金融庁は、電子決済手段等取引業を説明するページで、対象を「法定通貨の価値と連動するいわゆるステーブルコイン」としています。1コイン=1円や1コイン=1ドルのように、特定の通貨の価値に合わせることを目指したデジタルな決済手段です。
注目が集まったきっかけとして、金融庁の2022年3月の説明資料は、2019年6月のフェイスブックによるリブラ構想を挙げています。これを契機に国際的な議論が進み、2020年10月には金融安定理事会(FSB)の勧告で「同じビジネス、同じリスクには同じルールを適用する」という原則に合意したと説明しています。
同じ資料は、ステーブルコインの使われ方として、暗号資産の取引で他の銘柄と交換する際の受け皿になっている状況や、企業間決済・証券決済での活用に向けた動きを紹介しています。一方で、運営主体に対する規制監督がない例については、情報開示が不十分、償還可能性に疑義あり、マネロン等対策が不十分といった課題を示しています。
ビットコインそのものの仕組みはビットコインとはで扱っています。
出典: 金融庁:電子決済手段等取引業・電子決済等取扱業を行うみなさまへ、金融庁:資金決済法等改正法律案 説明資料(2022年3月)
3. 国内では2つの型に分けて扱う
金融庁の2022年3月の説明資料は、法定通貨建てのステーブルコインを2つに分類しています。分かれ目は、発行した価格と同じ額で払い戻す(償還する)ことを約束しているかどうかです。
1つ目は「デジタルマネー類似型」です。資料は、法定通貨の価値と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの(及びこれに準ずるもの)と定義し、デジタルマネー、つまり送金・決済の手段として規律するとしています。法律上はこれが「電子決済手段」にあたります。
2つ目は「暗号資産型」で、それ以外のもの、たとえばアルゴリズムで価値の安定を試みるもの等が含まれます。こちらは暗号資産や金融商品として規律するとされ、仲介するのは暗号資産交換業者です。
| 区分 | 発行者 | 仲介者 | 扱いの考え方 |
|---|---|---|---|
| デジタルマネー類似型(電子決済手段) | 銀行・資金移動業者・信託会社 | 電子決済手段等取引業者など | 送金・決済の手段 |
| 暗号資産型 | 資料時点で規制のあり方は引き続き検討 | 暗号資産交換業者 | 暗号資産や金融商品 |
国内の取扱業者のページでも、この区別は一覧の分け方に表れています。先のSBI VCトレードでは、USDCやJPYSCは「取扱電子決済手段」、DAIは「取扱暗号資産」の一覧に載っています。同じくステーブルコインと呼ばれていても、どちらの一覧にあるかで適用されるルールが違います。
出典: 金融庁:資金決済法等改正法律案 説明資料(2022年3月)、SBI VCトレード:取扱電子決済手段
4. 電子決済手段を支える国内のルール
金融庁のページによると、電子決済手段の仲介等を業として行うための制度は令和5年6月1日から始まり、国内で営むには資金決済法・銀行法に基づく登録が必要になりました。利用者が売買や送付を頼む相手は、この登録を受けた業者です。
発行の裏付けについては、2025年3月の金融庁の説明資料が現行のルールを説明しています。信託の仕組みを使うステーブルコイン(特定信託受益権)の発行者は、発行額に相当する裏付け資産の全額を要求払預貯金で保有する必要があるとしています。資料は、日本では他の主要国に先行して2022年にステーブルコインの規制を導入した(2022年6月公布)とも記載しています。
同じ資料は改正案として、発行額の50%を上限に、元本を毀損しない形で、残存期間3か月以内の日米国債や、中途解約が認められる定期預金による管理・運用を認める内容を示しています。あわせて、電子決済手段等取引業者についても、破綻した場合等に国内利用者への資産の返還を担保するため、資産の国内保有命令を出せるようにする規定を設けるとしています。施行の時期や細かな条件は、金融庁の公表資料で確認します。
出典: 金融庁:電子決済手段等取引業・電子決済等取扱業を行うみなさまへ、金融庁:資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料(2025年3月)
5. 公式ページで確かめる項目
国内で扱われているステーブルコインについては、取扱業者の公式ページに発行者や裏付けの説明が載っています。見る順番を決めておくと、別の銘柄でも同じように比べられます。
- 区分: 「電子決済手段」と「暗号資産」のどちらとして扱われているか
- 発行者と償還の経路: 誰が発行し、どこを通じて償還されるか。SBI VCトレードは、USDCについてCircle社が全ての保有者と直接取引するわけではなく、日本では電子決済手段等取引業者を介して発行・償還が行われると説明しています
- 裏付け資産の公表: 発行残高や保有資産の残高、監査結果がどこで公開されているか
- 対応するブロックチェーン: 同社のページは、USDCの財産記録媒体をイーサリアムを始めとした複数のブロックチェーンとしています。送る側と受け取る側でネットワークが一致しないと反映されない点は、通常の暗号資産と同じです
- 手数料と取引の方式: 販売所か取引所か、入出庫の手数料はいくらか。金額は変わるため、公式の手数料一覧で確認します
ネットワークの選び方と送金の確認順は暗号資産の送金の仕組み、販売所と取引所の違いは取引所と販売所の違いにまとめています。
また、同社の注意点には、暗号資産及び電子決済手段は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用できると記載されています。法定通貨と違い、受け取る側が断ることができる手段です。
6. 次に確認すること
ステーブルコインは「何と連動し、誰が償還を約束し、どの業者を通じて扱うか」で性質が決まります。気になる銘柄があれば、まず取扱業者の公式ページでそれが電子決済手段と暗号資産のどちらに区分されているかを確認し、次に発行者が公表している裏付け資産の情報を開いて読むのが確認の起点になります。
国内の交換業者で口座を持つ流れはGMOコインの始め方などで、本人確認から入金までを公式ヘルプに沿って整理しています。
出典
- 金融庁:電子決済手段等取引業・電子決済等取扱業を行うみなさまへ — 電子決済手段等取引業の概要、制度開始日、登録の必要性。
- 金融庁:安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案 説明資料(2022年3月) — デジタルマネー類似型と暗号資産型の分類、発行者と仲介者、国際的な議論の経緯。
- 金融庁:資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料(2025年3月) — 信託型ステーブルコインの裏付け資産の現行ルールと見直し案、資産の国内保有命令。
- SBI VCトレード:取扱電子決済手段 — USDC・RLUSD・JPYSCの発行者と発行方法、アドレス凍結機能、利用上の注意点。