新しい送金先にすぐ送れないのはなぜ?|金融庁・警察庁の詐欺対策要請と、Coincheck・GMOコイン・bitbankの送付制限
送金先を登録した直後や入金の直後に暗号資産を送れない理由を、2026年8月の金融庁・警察庁の要請と、Coincheck・GMOコイン・bitbankの公式のお知らせで整理します。制限の中身、各社の違い、送る前の確認順まで。

新しく登録した送金先や、入金・購入した直後の暗号資産をすぐ外部へ送れないのは、金融庁と警察庁が2026年8月に交換業者へ詐欺被害を防ぐための出庫制限を要請し、各社が待ち時間を設けているためで、期間や対象は会社ごとに違います。
確認日: 2026年10月31日。この記事は金融庁の公表資料と、Coincheck・GMOコイン・bitbankの公式のお知らせ・ヘルプの記載を対象とし、暗号資産の送付(出庫)の制限だけを扱います。銘柄や取引所の優劣、価格の話は扱いません。
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1. 先に知っておく制約:待ち時間は利用者側では縮められない
仕組みより先に、できないことを確認します。登録したばかりの送金先への送付は、制限期間が過ぎるまで待つしかありません。
Coincheckは2026年9月15日から、新しく登録した送金先アドレスには一定の間、送金に制限がかかるとし、制限期間の短縮(早期解除)は受け付けていないと案内しています。具体的な期間は、セキュリティ上の理由で非公開としています。すでに登録済みのアドレスへの送金には影響しないとしています。
GMOコインは2026年8月29日11時から、送付先アドレス(宛先)の登録後、一定時間の送付を制限しています。同社のお知らせでは、宛先リストの審査完了のお知らせメールを送った時点から24時間は、その宛先へ送付できないとしています。
つまり「今日中に別の取引所へ移したい」といった予定がある場合、新しい送金先なら前もって登録しておく必要があります。期日のある送金ほど、登録を先に済ませます。
出典: Coincheck:暗号資産の送金に関するセキュリティ強化のお知らせ(2026年9月15日更新)、GMOコイン:暗号資産の送付先アドレス(宛先)ご登録後の送付制限に関するお知らせ
2. 背景:金融庁・警察庁が2026年8月に要請した11項目
各社の制限は、2026年8月6日の要請を受けたものです。金融庁は警察庁と連名で、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)に対し、暗号資産を用いた詐欺被害等を防ぐ対策を改めて要請したと公表しました。
金融庁の概要資料は、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害が急増し、詐欺の被害者が暗号資産で資金を渡す事例が年々増えていることを背景に挙げています。対策は規模によらず必要として、全ての暗号資産交換業者に要請したとしています。
11項目のうち、送付の待ち時間に直接関わるのは次の3つです。
| 要請の項目 | 内容(概要資料の記載から) |
|---|---|
| ③ 入金後・購入後の出庫制限 | 法定通貨の入金後や暗号資産の購入後、一定期間の出庫を制限する |
| ④ 出庫先の事前登録と登録後の制限 | 出庫先を事前に登録して詐欺との関連を確認し、新規に登録された出庫先へは一定期間の出庫を制限する |
| ⑤ 出庫限度額の設定 | 顧客の属性や取引目的などに応じて出庫限度額を設定し、詐欺の発生状況に応じて見直す |
同じ資料は、対策の方法や深度は各交換業者の業務内容や不正利用の発生状況に応じて判断するとし、システム対応が必要な場合は計画的に対応することが重要としています。各社で期間や対象が違うのはこのためです。
出典: 金融庁:暗号資産を用いた詐欺被害等防止に向けた対策の一層の強化、金融庁:同(概要)(PDF)
3. 3社の公式案内を並べる
確認日時点で、3社の公式のお知らせ・ヘルプに書かれている送付の制限を並べます。
| 会社 | 案内されている制限 | 対象外とされているもの |
|---|---|---|
| Coincheck | 2026年9月15日から、新しく登録した送金先アドレスへの送金を一定の間制限(期間は非公開、早期解除なし)。クイック入金・コンビニ入金の反映から7日間も、入金額に相当する分の送金などを制限 | 登録済みのアドレスへの送金 |
| GMOコイン | 2026年8月29日から、宛先の審査完了メールの送信時点から24時間、その宛先への送付を制限。過去に登録したアドレスの再登録も対象 | 登録済みの宛先への送付、NACレンディング |
| bitbank | 2026年9月4日のお知らせで、パスキー・二段階認証・SMS認証の解除や登録メールアドレスの変更のあと、所定の期間、暗号資産の出金を制限することがあると案内 | 制限期間中の日本円の出金と取引 |
GMOコインは、会員ページの宛先リストに送付が可能になる日時を表示し、それまでは宛先として選べないと説明しています。bitbankは、必要と判断した場合に登録電話番号へ電話をすることがあるとしています。
入金方法ごとの7日間の制限は入金方法の違いで詳しく扱っています。要請は全ての交換業者が対象のため、ここに挙げていない制限が今後加わることもあります。送る前に、利用している会社のお知らせを確認します。
出典: Coincheck:暗号資産の送金に関するセキュリティ強化のお知らせ、Coincheck:入金・購入後の資産移動と制限内容、GMOコイン:送付先アドレス(宛先)ご登録後の送付制限に関するお知らせ、bitbank:各種お手続きに伴う暗号資産の出金制限について
4. 待ち時間が詐欺対策になる理由
要請の②は、第三者からの指示による口座開設や暗号資産の購入・出庫は詐欺のおそれが高いことを、顧客に注意喚起するよう求めています。SNSやマッチングアプリで知り合った相手から「口座を作って、買って、このアドレスへ送って」と急がされる流れは、この注意喚起が想定している状況に当てはまります。
新しい送金先への待ち時間があると、指示されたアドレスへその日のうちに送ることはできません。その間に、家族に相談したり、送付先の相手が誰なのかを確かめたりする時間ができます。不正アクセスで送付先を書き換えられた場合にも、利用者や交換業者が気づく時間になります。
送る相手が本当に信頼できるか迷う場合は、送る前に相談します。出金のために追加の支払いを求められる手口は出金が反映されないとき、詐欺の典型は仮想通貨のセキュリティで整理しています。
出典: 金融庁:暗号資産を用いた詐欺被害等防止に向けた対策の一層の強化について(概要)(PDF)
5. 心当たりのない送付先の登録に気づいたら
待ち時間は、身に覚えのない登録に気づくための時間でもあります。各社は、気づいたときの連絡先を案内しています。
Coincheckは、心当たりのないアドレス登録を確認した場合、直ちにアカウントをロックしたうえで問い合わせるよう案内しています。GMOコインは、心当たりのない宛先の審査完了メールが届いた場合、問い合わせフォームの「不正利用による口座凍結依頼」から連絡するよう案内しています。
メールやSMSのリンクからログインせず、公式アプリや自分で開いた公式サイトから状況を確かめます。ログインまわりの確認はログインできないとき、二段階認証の設定はCoincheckの二段階認証、GMOコインの二段階認証、bitbankの二段階認証で扱っています。
6. 送る前に確認する順番
最後に、送付で止まらないための確認を順番に並べます。
- 送付先が、利用している交換業者の送付先一覧に入っているか(トラベルルールの制限)
- 送付先がすでに登録済みか。新規なら、先に登録して待ち時間を見込む
- 送る予定の暗号資産が、ペイジーなどでの入金直後に買ったものではないか
- 直近にパスキーや二段階認証の解除、メールアドレスの変更をしていないか
- 送るよう指示してきた第三者がいないか
口座がまだない場合は、Coincheckの始め方、GMOコインの始め方、bitbankの始め方で本人確認からの流れを確認できます。送金の仕組みそのものは暗号資産の送金の仕組みで扱っています。
次に確認することは、いま使っている交換業者のお知らせ一覧で、送付先の登録後や入金後の制限について新しい案内が出ていないかです。
出典
- 金融庁:暗号資産を用いた詐欺被害等防止に向けた対策の一層の強化(2026年8月6日) — 警察庁と連名でJVCEAへ要請したこと、11項目の見出し。
- 金融庁:暗号資産を用いた詐欺被害等防止に向けた対策の一層の強化について(概要)(PDF) — 要請の背景、入金後・購入後の出庫制限、出庫先の事前登録と登録後の制限、出庫限度額、注意喚起の内容。
- Coincheck:暗号資産の送金に関するセキュリティ強化のお知らせ(2026年9月15日更新) — 新規登録アドレスへの送金制限、期間非公開、早期解除なし、心当たりのない登録への対応。
- Coincheck:入金・購入後の資産移動と制限内容 — クイック入金・コンビニ入金後の7日間の制限。
- GMOコイン:【重要】暗号資産の送付先アドレス(宛先)ご登録後の送付制限に関するお知らせ(2026年8月25日) — 2026年8月29日からの24時間の送付制限、対象外、再登録の扱い、問い合わせ先。
- bitbank:各種お手続きに伴う暗号資産の出金制限について(2026年9月4日) — 認証の解除やメールアドレス変更後の出金制限。