基礎知識

貸暗号資産(レンディング)の仕組みとリスク:契約の形・中途解約・破綻時の扱い

取引所に暗号資産を貸して利用料を受け取る貸暗号資産の仕組みを、Coincheck・GMOコイン・bitbankの公式説明と国税庁FAQで整理します。分別管理の対象外になる点や中途解約の条件など、リスクを先に確認します。

机の上で、鍵のかかった木の小箱と、紐で綴じた白紙の契約書類、砂時計が並ぶ落ち着いた場面
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貸暗号資産は、手持ちの暗号資産を一定期間取引所に貸し、期間が終わったら同じ種類・同じ数量の暗号資産と利用料を返してもらう契約で、貸している間は売却も送付もできず、取引所が破綻すると返ってこない可能性があります。

確認日: 2026年10月30日。この記事は国内の暗号資産交換業者のうちCoincheck・GMOコイン・bitbankが提供する貸暗号資産サービスの仕組みとリスクを対象とし、利用料率の比較や、使うかどうかの判断は扱いません。

本文の公式リンクは広告ではありません。ヒーロー画像はAI生成のイメージです。サービスの条件は変わることがあるため、最新の内容は出典の各社ページで確認してください。

1. 先に知っておくこと:4つのリスク

貸暗号資産は「預けておくと利用料がもらえる」と説明されることがありますが、3社の公式説明を読むと、通常の預かりとは違うリスクがはっきり書かれています。主なものは次の4つです。

  • 破綻したら返ってこない可能性がある — 3社とも、契約は消費貸借契約で、会社が破綻した場合は貸した暗号資産が返却されないリスクがあると説明しています。Coincheckは無担保契約であることも明記しています
  • 分別管理の対象外になる — 貸し出した暗号資産は、資金決済法にもとづく分別管理の対象になりません。Coincheckの取引説明書は、優先弁済権も持たないと書いています
  • 期間中は動かせない — 貸出期間が終わるか、会社が返却するまで、売却も送付もできません
  • 価格の変動は貸した側が負う — 返ってくるのは同じ数量の暗号資産なので、期間中に価格が下がれば、その分の損失は貸した側に生じます

このほか、3社とも、このサービスは預金に類似する商品ではなく、預金保険の対象にもならないと説明しています。

2. 仕組み:「預ける」ではなく「貸す」契約

取引所の口座に暗号資産を置いておくことと、貸暗号資産で貸し出すことは、法律上の扱いが違います。口座に置いてある暗号資産は、取引所が利用者のために管理しているものです。一方、貸暗号資産では、利用者と取引所が消費貸借契約を結び、暗号資産そのものを取引所に貸します。流れは次の図のとおりです。

1. 申込み銘柄・数量・期間を指定する2. 契約の成立業者の承認と引渡しで成立3. 貸出期間売却・送付はできない分別管理の対象外4. 期間満了同種・同量を返還利用料も暗号資産で期間中に起こりうること途中でやめたいとき・原則として中途解約できない(Coincheck・bitbank)・解約できる場合も利用料は支払われない・解約手数料がかかる(GMOコイン・bitbank)業者が破綻したとき・消費貸借契約で、無担保(Coincheck)・貸した暗号資産が返却されない可能性・預金保険の対象ではない期間中も暗号資産の価格は動き、その変動は貸した側が負う受け取った利用料は、取得したときの時価で所得の計算に入る(国税庁FAQ 1-7)
Coincheck・GMOコイン・bitbankの公式説明に共通する流れを並べたもの。申込みの方法、期間の決まり方、中途解約の扱いは会社ごとに異なるため、細部は各社の説明書・取引ルールで確認してください。

Coincheckの公式ページは、契約期間満了後に預かった暗号資産と同量・同等の暗号資産を返し、一定の料率で計算した利用料をその暗号資産で支払うサービスだと説明しています。

GMOコインとbitbankも、それぞれ「本サービスは資金決済法上の暗号資産交換業に該当するものではない」として、借り入れた暗号資産は分別管理の対象にならないと明記しています。口座に置いてある暗号資産の守られ方は、取引所が破綻したら預けた暗号資産はどうなるかで整理しています。

3. 申込みから返還までの流れ(3社の違い)

申込みの方法と期間の決まり方は会社ごとに異なります。確認日時点の公式説明では、次のようになっていました。

項目 Coincheck GMOコイン(ベーシック) bitbank
申込み 貸暗号資産口座へ振替えてから、数量と貸出期間を指定して申請 会員ホームの【貸暗号資産】-【ベーシック】で銘柄とコース(貸出期間)を選んで申込み 毎月の募集内容を確認して申込み
契約の成立 会社の承認で成立 毎月の貸出開始日に残高から引き落とし 申込み・会社の承諾・引渡しの完了で成立
期間 申請時に指定 銘柄ごとのコース 募集月の翌月1日から1年を経過する日まで
自動での継続 期間満了後に再申請する設定ができる 取消さない限り同じ条件で自動更新 記載なし(募集ごとに申込み)
申込みの場所 パソコンのブラウザ(スマホアプリ不可) 会員ホーム 取引画面

どの会社も、申し込んだだけでは契約は成立しません。Coincheckは借入総額の上限などを考えて承認するとしており、承認されない場合もあります。bitbankは、申込みの数量が上限に達すると募集期間中でも募集を終了する場合があると説明しています。GMOコインは、貸出開始日に貸出予定の暗号資産が口座に足りないと申込みがキャンセルになるとしています。

利用料の率は、銘柄や期間、募集の状況によって変わります。bitbankは取引画面に表示される率が適用されるとし、GMOコインは貸出の条件が募集状況や相場動向で変わる場合があるとしています。この記事では率の具体的な数字は扱いません。申し込む前に、各社の取引画面で最新の条件を確認してください。

4. 途中でやめたいときの扱い

途中で暗号資産を引き出したくなったときの扱いは、会社によって大きく違います。ここは申し込む前に必ず読んでおきたい項目です。

  • Coincheck — 取引説明書で、契約期間中は原則として中途解約や中途売却はできないとしています。一方で、会社のほうは期間に応じた利用料を払って、いつでも暗号資産を返還できるとしており、当初予定していた利用料を受け取れない可能性があると説明しています
  • GMOコイン — 中途解約はできますが、その場合は貸借料が支払われず、解約手数料がかかります。確認日時点の公式ページでは、手数料は「償還時に受取予定の貸借料の10%」と表示されていました
  • bitbank — 取引ルールで、原則として中途解約はできないとしています。会社がやむを得ないと認めた場合は解約できますが、利用料は支払われず、確認日時点の取引ルールでは貸した暗号資産の5%が解約手数料として差し引かれると記載されていました

手数料の率は改定されることがあります。実際に解約を考える場面では、その時点の各社の説明を確認してください。

5. 税金の扱い(国税庁FAQ)

国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月最終改訂)の1-7は、レンディングなどで暗号資産を取得した場合、その取得にともなう利益は所得税または法人税の課税対象になると説明しています。

同じ問の解説では、取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)を所得の計算上の総収入金額に入れるとしています。利用料は暗号資産で受け取るため、受け取った時点の時価で記録しておく必要があります。暗号資産取引の所得区分は、同じFAQの2-2で原則として雑所得とされています。

個人での計算の進め方は確定申告の計算方法、税金の基本は仮想通貨の税金の基本にまとめています。個別の判断は税務署や税理士に確認してください。

6. よくある質問

Q. 積立やステーキングとは何が違いますか?

A. 積立は決まった金額で定期的に購入するサービスで、購入した暗号資産は通常の預かりとして扱われます。貸暗号資産は暗号資産を取引所に貸す契約で、期間中は分別管理の対象から外れます。積立の仕組みは積立の仕組みで整理しています。

Q. 貸している暗号資産の価格が下がったら、途中で売れますか?

A. 3社の説明では、期間中は売却も送付もできません。GMOコインは中途解約ができますが、解約手数料がかかり貸借料は支払われません。価格の変動による損失は、貸した側が負うと各社が説明しています。

Q. 貸した暗号資産の取引記録はどこで確認できますか?

A. Coincheckは、取引内容を記載した報告書(CSV)を毎月1回交付するとしています。年間の記録は年間取引報告書のダウンロード方法もあわせて確認してください。

7. 次に確認すること

使うかどうかを考える前に、利用を考えている会社の説明書・取引ルールで、中途解約の扱いと破綻時のリスクの記載を読んでおくと、貸している間に何ができないかを把握できます。口座の作り方はCoincheckの始め方・GMOコインの始め方・bitbankの始め方で公式の流れに沿ってまとめています。

出典

当記事は情報提供を目的としており、特定の暗号資産の購入・売却を推奨するものではありません。 取引には価格変動・流動性・システム障害等のリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。 記事内容は執筆時点の情報に基づきます。手数料・サービス内容の最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。